コンクリートの基礎知識(第1回)

Q:広川商事って何をする会社ですか?
A:コンクリート用資材全般を販売してます。
Q:コンクリートって水とセメントを練ったもののことをいうんですよね?
A:ハズレ。コンクリートにはもっと他にもいろんなものがはいってるんですよ。
Q:へえーじゃあコンクリートってなにからできてるんですか?
A:砂利、砂、水、セメント、混和材料などを練りまぜたものをコンクリートといいます。※(別表:【コンクリートの種類】参照)

Q:砂利や砂なんか入れたらすぐにくずれちゃいそうですけど?
A:ところがそういった砂利なんかがはいってる方が丈夫だから世の中わからない。要するにセメントが砂利のつなぎの役割を果たすわけです。
Q:そこら辺にある砂利を適当に入れるんですか?
A:とんでもなーい!砂利ひとつ入れるにも、コンクリートを打つ環境によって、ちゃんと配合(混ぜる割合)を計算しています。
砂利や砂なんかのことを骨材というんですが、骨材にもいろんなものがあって ※(別表:【骨材の種類】 参照)

それぞれを組み合わせて使っています。
Q:それじゃあ混和材料って何のために使うんですか?
A:よくぞ聞いてくれました。これを当社が販売してるんです。※(別表:【混和材料の種類】 参照)

さて、混和材料の役割ですが、一言でいうなら、「コンクリートの品質特性の改善と向上」です。
Q:それだけではよくわかんないです。
A:じゃあ、もう少し詳しく説明しましよう。
まず、<良いコンクリート>とは、どんなものかと言いますと、
・固まる前(フレッシュな状態)は、作業に適した、かたさ(流動性)で、材料が分離せずに均等に混ざっていること。
・固まった後(硬化した状態)は、設計通りの強度と耐久性を備え、なおかつ経済的であること。
ということです。
コンクリートを打つ現場は、多種多様です。
(例えば:構造物の規模、部材の種類・大きさ・形状、配筋の状態、建設される場所や環境、施工時期、施工方法等)
ですから<良いコンクリート>をつくるための配合方法も多種多様にあります。
混和材料を配合することによって、その現場に、より適した特別な性質を与える、いわば混和材料はコンクリートの調味料といったものです。
Q:へーえ。具体的にはどんな状況が考えられるんですか?
A:寒冷地の現場で、コンクリートを使う場合、配合時は水の量をなるべく減らして、かわりに促進形のAE減水剤を入れる。
なんていう例はいかがでしょう?
寒冷地で生コンを使う場合、そのままだと、固まるまで通常の温度より、時間がかかり、生コンクリートの固体材料の沈降または分離によって、練り混ぜ水の一部が遊離して上昇する(ブリーディング)が多くなります。
固まる時間が長いほど、凍結しやすくなるわけです。
Q:配合するときに、水を少な目にすればいいんじゃないですか?
A:しかし、水の量が少ないだけだと、流動性が悪い、つまり固くて、作業しにくい生コンクリートになってしまうので、水の代わりに混和剤が必要となってくるわけです。
Q:なぜ、AE剤の気泡が必要なのですか?
A:多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させることは、コンクリートにとっては必要です。
微細な気泡が適度に分散して含まれていると、衝撃に対するクッションになったり、耐凍害性が向上したりといった利点があります。
しかし、大きな空気泡や水分の塊は、コンクリート中のあちこちに、<すきま>をつくることになるのでよくありません。
その上、寒冷地の場合はブリーディング水が凍結して氷になります。
Q:そうか!水よりも氷の方が体積が大きいんだ。
A:はい、よくできました。ということで、凍結と融解がくりかえされると、コンクリートの中にひび割れができます。
コンクリートにとって亀裂は非常に危険なことなのです。
これを防ぐために、この混和材料を使って、早く固めているわけです。
(注:現場や他材料の条件によっては、寒冷地でも他の混和材料を使う場合があります)
Q:なるほど、最近よく、ニュースでトンネル内のコンクリートがはがれ落ちた事故とかやってますよね。
A:ああいった事故も、最初はほんの小さな亀裂から始まるわけですから、出来るだけ亀裂ができないように日々努力研究しているんです。
Q:ただなんとなく固めてるわけじゃないんですね。

コンクリートの基礎知識(第2回)

A:今回は「各種コンクリート」を中心に説明したいと思います。
Q:「各種コンクリート」には具体的にどのようなものがありますか?
A:コンクリートは一般に、施工される環境条件や、工法の特殊性によってある程度区分されます。
例えば、プレパックドコンクリート、遮へい用コンクリート、流動化コンクリート、無筋コンクリート、吹き付けコンクリート、気泡コンクリート、水中コンクリート、高流動コンクリートなどです。
いづれにしても、用途に応じて使用される材料特性を生かし、適正な工法を入念に行って、それぞれのコンクリートが要求される性能を十分に発揮できるようにする必要があります。
Q:高流動コンクリートの品質の特徴を教えてください。
A:高流動コンクリートは、超高流動コンクリート、あるいはハイパーフォーマンスコンクリートとも呼ばれます。
このコンクリートには、流動性と材料分離抵抗性に優れているという特徴があります。
だから、バイブレーターを用いなくても鉄筋が密に配置された型枠の隅々まで充填しますし、流動した先端まで粗骨材が運ばれるのです。
この流動性は、スランプではなく、スランプコーンを引き上げた後の直径で表示するスランプロー値で測定しています。
Q:流動化コンクリートの特徴と製造方法について教えてください。
A:流動化コンクリートとは、あらかじめ練り混ぜられたベースコンクリートに流動化剤を添加しこれを撹拌して流動させたコンクリートをいいます。
一般的な流動化コンクリートの製造方法としましては、

の3つの方式があります。
流動化剤は、各材料との同時添加よりも後添加のほうが、セメントの分散効果が著しくなるので、流動化の効果がはるかによい結果が得られます。
流動化剤の添加量とスランプ増大量は、ほぼ比例しますが、添加量が過大となると材料分離が著しくなるのでスランプ増大量は、10p以下とすることが望ましい。
Q: 水中コンクリートの種類と施工方法を教えてください。
A: 水中コンクリートとは、水中、海水中、あるいは泥水中に打ち込まれるコンクリートで、セメント粒子の流出を防止することが重要です。

<水中コンクリートの種類>

等に分類されます。
<施工方法> 
水中コンクリートの施工方法には、コンクリートポンプ工法、トレミー工法、特殊トレミー工法等、があります。
以上その他にも、色々なコンクリートがありますが、実際に当社が施工(混和剤の投入)したり見学した特殊コンクリートより抜粋してみました。
それでは、今回はこのへんで。次回は、コンクリートの配合(配調)について予定しております。

コンクリートの基礎知識(第3回)

A:今回は前回からの予定通り「配合」について説明したいと思います。
Q:配合って何ですか?
A:簡単に言うとコンクリートをつくる時の各材料の割合や使用量のことをいいます。
Q:各材料ってどんなのがありますか?
A:一般的に水、セメント、細骨材、粗骨材を混ぜ合わせてコンクリートはつくられます。
Q:配合設計って何ですか?
A:配合設計とは材料と配合を仮定し、コンクリートの性能が満足されるまで照査を繰り返すことです。(コンクリートのフレッシュな状態から硬化後迄の性能を考慮して適切な配合(調)を決定します。)
Q:コンクリートの性能ってどんなのがありますか?
A:一般に、構造物の設計時に設定された強度、中性化速度係数、CIイオンに対する拡散係数、相対動弾性係数、耐化学侵食性、耐アルカリ骨材反応性、透水係数、耐火性、凝結特性などです。
Q:配合はどのように表されるのですか?
A:示方配合といって示方書または責任技術者により指示される配合です。*別表「配合の表し方」
Q:現場配合とは何ですか?
A:示方配合のコンクリートになるよう骨材の粒度や含水状態、計量方法によるバッチ量により決めた配合。実際に練混ぜを行う場合では示方配合を現場配合に換算させます。
Q:配合設計はどのような手順で進められるのですか?
A:まず、構造物の種類・寸法、気象条件、施工方法、配合強度などを考えて粗骨材の最大寸法・空気量・スランプを決め所要の品質より水セメント比を決め、単位水量と細骨材率を決めます。次に各材料の使用量を計算して試し練りを行い所定のスランプ、空気量、ワーカビリティー(※1)が得られるように単位水量、混和剤の単位量、細骨材率を調整し配合を決めます。また、骨材量の計算には細骨材率法と単位粗骨材容積法とがあります.

※1:ワーカビリティー・・・コンクリートの運搬、打込み、締固め、仕上げ等の作業性

<その他>以下のことに対しても考慮して配合設計することが望ましいと思われます。
コンシステンシー・・・変形あるいは流動に対する抵抗性の程度
プラスティシティー・・・容易に型に詰めることができ、型を取るとゆっくり形を変えるがくずれたり、材料分離をしない。
フィニッシャビリティー・・・粗骨材の最大寸法、細骨材率、細骨材の粒度、コンシステンシー等による仕上げの容易さ。

第4回目も引き続き配合について説明する予定です。


(つづく)


コンクリートとは?
セメント、水、細骨材、粗骨材及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、
これらを練混ぜその他の方法によって、一体化したもの。



【コンクリートの種類】
用 語 定 義
フレッシュコンクリート まだ固まらないコンクリート
プレーンコンクリート セメント、水、細骨材、粗骨材を構成材料としたコンクリート
AEコンクリート AE剤などを用いて微細な空気泡を含ませたコンクリート
モルタル セメント、水、細骨材及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、これらを練混ぜその他の方法によって、一体化したもの。
セメントペースト セメント、水及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、これらを練混ぜその他の方法によって、一体化したもの。
軽量コンクリート 軽量骨材を用いたり、多量の気泡を含ませたりして、単位容積質量又は比重を小さくしたコンクリート
軽量骨材コンクリート 軽量骨材を用いて単位容積質量又は比重を小さくしたコンクリート
重量骨材コンクリート 重量骨材を用いて単位容積質量又は比重を大きくしたコンクリート
無筋コンクリート 鋼材で補強しないコンクリート
鉄筋コンクリート 鉄筋で補強したコンクリート
鉄骨鉄筋コンクリート 鉄骨及び鉄筋で補強したコンクリート
プレストレストコンクリート PC鋼材によってプレストレスが与えられているコンクリート

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骨材とは?
モルタル又はコンクリートを造るために、セメント及び水と練り混ぜる砂、
砂利、採石スラグ骨材、その他これに類似の材料

【骨材の種類】
用 語 定 義
細 骨 材 10o網ふるいを全部通り、5o網ふるいを質量で85%以上通る骨材
粗 骨 材 5o網ふるいに質量で85%以上留まる骨材
自然作用によって岩石からできた細骨材
砂 利 自然作用によって岩石からできた粗骨材
砕 砂 岩石をクラッシャーなどで粉砕し、人工的につくった細骨材
砕 石 岩石をクラッシャーなどで粉砕し、人工的につくった粗骨材
軽量骨材 コンクリートの質量の軽減又は断熱などの目的で用いる、普通の岩石よりも比重の小さい骨材
天然軽量骨材 火山作用などによって天然に産する軽量骨材
人工軽量骨材 けつ岩、フライアッシュなどを主原料として人工的に製造した軽量骨材
重量骨材 遮へい用コンクリートなどに用いられる、普通の岩石よりも密度の大きい骨材
標準砂 セメントの強さ試験用モルタルに用いる天然けい砂

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混和材料とは?
セメント、水、骨材以外の材料で、コンクリートなどに特別の性質を与えるため、
打込みを行う前までに、必要に応じて加える材料。

【混和材料の種類】
用 語 定 義
混和材 混和材料の中で、使用量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートなどの練上がり容積に算入されるもの。
結合材 水と反応し、コンクリートの強度発現に寄与する物質を生成するものの総称で、セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどを含めたもの。
ポゾラン それ自体は水硬性をほとんどもたないが、水の存在のもとで水酸化カルシウムと常温で反応して、不溶性の化合物を作って硬化する鉱物質の微粉末の材料。
フライアッシュ ポゾランの1種類で、微粉炭燃焼ボイラの燃焼ガスから集じん器で採取されるアッシュ
高炉スラグ微粉末 溶鉱炉で銑鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを水によって急冷し、これを乾燥、粉砕したもの、又はこれにせっこうを添加したもの。
膨張剤 セメント及び水とともに練り混ぜた後、水和反応によってエトリンガイト、水酸化カルシウムなどを生成し、コンクリート又はモルタルを膨張させる混和材
ポリマーディスパージョン ゴムラテックス又は樹脂エマルジョンに安定剤、消泡剤などを加えて、よく分散させ均質にしたもの
再乳化形粉末樹脂 ゴムラテックス又は樹脂エマルジョンに安定剤などを加えたものを乾燥して得られる微粉末の材料
混和剤 混和材料の中で、使用量が少なく、それ自体の容積がコンクリートなどの練上がり容積に算入されないもの
化学混和材 主として、その界面活性作用によって、コンクリートの緒性質を改善するために用いる混和材
AE剤 コンクリートなどの中に、多数の微細な独立した空気泡を一様に分散させ、ワーカビリティー及び耐凍害性を向上させるために用いる混和材
減水剤 所要のスランプを得るのに必要な単位数量を減少させるために用いる混和材
AE剤減水剤 AE剤と減水剤との両方の使用効果を兼ね備えた混和材
高性能AE剤減水剤 空気連行性能をもち、AE剤減水剤よりも高い減水性能及び良好なスランプ保持性をもつ混和材
流動化剤 あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加し、これをかくはんすることによって、その流動性を増大させることを主たる目的とする混和材
防せい剤 コンクリート中の鋼材が、使用材料中に含まれる塩化物によって腐食するのを抑制するために用いる混和材
急結剤 コンクリートの凝結時間を著しく短くし、早期強度を増進するために、主として吹付けコンクリートに用いる混和材
硬化促進剤 セメントの水和を早め、初期材齢の強度発現を大きくするために用いる混和材
凝結遅延剤 セメントの水和反応を遅らせ、凝結に要する時間を長くするために用いる混和材

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【配合の表し方】
コンクリートの配合の表し方(例)
粗骨材の最大寸法(mm) スランプ
の範囲
(cm)
空気量
の範囲
(%)
水セメント比(%) 細骨材率
(%)
単位量(kg/m3)
セメント 細骨材 粗骨材 混和材 混和剤
                     

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